The Japan Cup (ジャパンカップ)2010年 Winner

受賞者:藤山 新太郎

The Japan Cup (ジャパンカップ)2010年 各受賞者

マジシャン・オブ・ザ・イヤー受賞者:藤山 新太郎

1988年と1994年の文化庁芸術祭・芸術祭賞受賞に続き、1998年、同芸術祭大賞受賞(3度の受賞は演芸部門初)。国際的な評価も高く、2009年はFISM北京大会にて水芸を上演。また日本の古典奇術に関する積年の研究も白眉。その手法は史料研究に留まらず、日本各地に出向いての関係者に対する聞き取り調査、道具や演技法の考察・復元等、プロマジシャンならではの多彩なものである。2009年、その集大成とも言える書籍「手妻のはなし 失われた日本の奇術」が新潮選書より上梓された。一方、同年10月、「元禄の幻術」と題する公演を行い、300年前の日本で盛んに演じられていたという「呑馬術」や「緒小桶の曲」を日本奇術史上初めて復活上演し、理論と実践の両面でその研究成果を結実させた。

佐藤 総

ベスト・クロースアップ・マジシャン受賞者:佐藤 総

1978年京都生まれ。小学生の頃よりマジックに親しむ。会社勤務の傍ら、2003年にカードマジック作品集「トランプと悪知恵」(フレンチドロップ刊)を発表。これが評価され、ジャパンカップ2007・著述・放送文化賞受賞。〈マジックの「作品」化とは、マジックの方法を分節するなかでこれを言語化し、考案者/演者の身体から完全に分離させる作業である〉と考え、2008年に作品集「card magic designs」を自主制作。そこに投射した、汎用性の高い新原理に迫ろうとするマジシャンとしての姿勢もさることながら、クロースアップ・マジックに真摯に対峙しようとする、表現者としての姿勢そのものが、日本のクロースアップ・マジシャンたちに衝撃と勇気を与え、以て彼らを奮い立たせる起爆剤となった。

杉本亜未、リチャード カウフマン

著述放送文化賞受賞者:杉本亜未、リチャード カウフマン

■杉本亜未
漫画家。2006年より、講談社刊「モーニング・ツー」誌上にてマジックをモチーフとした作品『ファンタジウム』を好評連載中。この作品ではマジシャンだった祖父・龍五郎に憧れて育った会社員・北條と、生前の龍五郎にマジックを習った、才気あふれる中学2年生・長見良との交流を軸に、良の成長が描かれる。詩を思わせる直截な表現と読者の心に迫る物語に、マジックと人との純粋で美しい関係を縦糸のように織り込んでいく手法は秀逸。マジックを知らない多くの方々にその素晴らしさを伝えたばかりでなく、マジック愛好者に対しては、「マジックの意味」といった根源的なテーマについて、あらためて思索する契機を提供した。『ファンタジウム』単行本の最新5巻は、2010年3月22日発売予定。

■Richard Kaufman(リチャード・カウフマン)
1936年創刊のマジック雑誌、ジニー誌(Genii, The Conjurors' Magazine)の出版権を1998年に買い取り、その出版事業を1999年1月号より自社(The Genii Corporation)にて引き継ぐ。その後10年で、同誌を世界を代表するマジック雑誌の1つにまで押し上げた。2009年は「新しい10年」の初めの1年にあたり、その2月号ではヒロ・サカイ氏の特集が組まれた。日本のマジシャンではこの他に、前田知洋氏(2003年7月号、2008年10月号)と島田晴夫氏(2007年6月号)の特集があり、さらに2000年5月号では『ジニー、東京へ行く』と題した特集が組まれ、当時の日本のマジック文化の状況を紹介する記事が多数掲載された。また同時に、多くの専門書の執筆・挿絵の制作・出版事業も幅広く手がけてきた。

河合 勝

功労賞受賞者:河合 勝

愛知江南短期大学特任教授。1985年から奇術文献の収集を始め、現在約5000点の資料を所蔵するに至る。2001年に私家本『日本奇術書目録』を刊行。2005年11月には日本最古の奇術本とされる「神仙戯術」の初版本を発見し、新聞報道される。同時に、収集した文献の研究も進め、愛知江南短期大学紀要第37号(2008年)に「日本古典奇術 胡蝶の舞について」を、同誌38号(2009年)に「呑馬術について」をそれぞれ発表。また、奇術史料を展示する「日本マジック資料展」を大都市で順次開催した他、インターネット上でも「河合先生のマジック資料室」(http://tenichi.exblog.jp)というブログに奇術史料を提供し、これを幅広く公開することで、多くのマジシャンの古典奇術の研究活動に多大な貢献をした。

マジックサークル・フェローシップ受賞者:藤本 明義

JCMA創立時からの協力者。第1回マジックサークル(2000年10月22日/埼玉)以来、マジックサークルの運営にも積極的に関わり、特に「若手育成コンテスト」(現「チャレンジャーズ・ライブ」)を提唱・実現し、以後10年以上に渡りその運営面で尽力したことは特筆に値する。一方、プロとしての現場経験のみならず、国際コンテストでの受賞経験や、国際舞台でのゲスト出演の経験も豊富であることから、実践に裏付けられた的確な指導にも定評がある。それが人間味あふれる優しい人柄と相まって、コンテスト後のフィードバック時や、その後の交流の中で、コンテストに関わった多くの人たちを勇気づけた。このような多面的努力の結果として、優秀な若手の発掘・育成に大きな役割を果すに至った。