著述放送文化賞受賞者:杉本亜未、リチャード カウフマン
■杉本亜未
漫画家。2006年より、講談社刊「モーニング・ツー」誌上にてマジックをモチーフとした作品『ファンタジウム』を好評連載中。この作品ではマジシャンだった祖父・龍五郎に憧れて育った会社員・北條と、生前の龍五郎にマジックを習った、才気あふれる中学2年生・長見良との交流を軸に、良の成長が描かれる。詩を思わせる直截な表現と読者の心に迫る物語に、マジックと人との純粋で美しい関係を縦糸のように織り込んでいく手法は秀逸。マジックを知らない多くの方々にその素晴らしさを伝えたばかりでなく、マジック愛好者に対しては、「マジックの意味」といった根源的なテーマについて、あらためて思索する契機を提供した。『ファンタジウム』単行本の最新5巻は、2010年3月22日発売予定。
■Richard Kaufman(リチャード・カウフマン)
1936年創刊のマジック雑誌、ジニー誌(Genii, The Conjurors' Magazine)の出版権を1998年に買い取り、その出版事業を1999年1月号より自社(The Genii Corporation)にて引き継ぐ。その後10年で、同誌を世界を代表するマジック雑誌の1つにまで押し上げた。2009年は「新しい10年」の初めの1年にあたり、その2月号ではヒロ・サカイ氏の特集が組まれた。日本のマジシャンではこの他に、前田知洋氏(2003年7月号、2008年10月号)と島田晴夫氏(2007年6月号)の特集があり、さらに2000年5月号では『ジニー、東京へ行く』と題した特集が組まれ、当時の日本のマジック文化の状況を紹介する記事が多数掲載された。また同時に、多くの専門書の執筆・挿絵の制作・出版事業も幅広く手がけてきた。